「強くなる」ということ (あるお婆様に対する警察官の言動から)

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先日、こんな場面に遭遇しました。
歩道を歩いていたら、こちらに向かって自転車をこぐお婆様。
その後ろには、自転車に乗ったお巡りさん。おそらく20代。
ゆっくり進んできたお婆様は、
魚屋さんの前で止まり、自転車から下りようとしました。
後ろから来たお巡りさんは、
お婆様がおりようとするので、ぶつかりそうに。
その時、お巡りさんはこう言ったのです。
「おい、あぶねぇなぁ」
しかも、お婆様を睨みつけながら!


 
 
     □     □     □
 
 
皆様は、どう思われるでしょうか?
私は心の底から驚きました。
その警官は、お婆様を睨み付けるスタンスを変えず、
後ろを振り返るようなかたちで睨み続けて
自転車をこいでいきました。
「大丈夫ですか?」などの声かけもせずに。
 
 
     □     □     □
 
 
たまたま、変な警官だったのかもしれません。
一つの事例だけで全体もそうだと想起するのは誤っている。
それはわかります。
しかしながら、昨今のギスギスした報道に触れるにつけ、
「あぁ、こんな世の中になってしまったのか」と、
心の底から思ってしまいました。
そして、
「誰かが守ってくれると思うのはダメだ」
「自分で自分を守るという気概をもって強くならなくては」
と思いました。
 
 
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「強くなる」。
それは、身体的に強くなるというだけでなく、
心の強さも意味しています。
例えば今回の警官は、
元々ひどい人だったわけではなくて、
たまたま、余程、心に余裕が無い状態だっただけなのかもしれません。
(できれば、そう信じたいと思いますが・・・)
心の余裕が無いというのは、それは一つの弱さといえます。
心に余裕があれば、きっとお婆様を気遣う姿勢になれたでしょう。
 
 
     □     □     □
 
 
つまり、強くなること。
身体的に強くなるということに加えて、
心においても強くなるということは、
自分を守るだけでなく、他者を守ることにもつながるわけです。
今こそ、一人ひとりが強くならなくてはいけないと思います。
自分のために、そして周りの人たちのために。
 
 
     □     □     □
 
 
体力に衰えがあっても、強いお爺様、強いお婆様はたくさんいます。
体力だけではない強さがあるということ。
そしてそんな高齢者は、
たとえ体力が弱まっていても、
周りの人たちを抱擁してあげるだけの能力をもちあわせていることがあります。
例えば、
「生きているという、ただそれだけのことで家族に愛情を与えている」、
言わば「存在の愛」の強さを発揮している方は、
たくさんいるはずです。
 
 
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強くなるということは、
体力においても、そうですが、
体力以外においても強くならなくてはいけないということ。
冒頭で掲げた事例の場合、
より良い社会をつくっていこうとするスタンスからすれば、
20代の警官より、お婆様の方が、
よほど強い存在だったと言えるのではないでしょうか。
 
 
     □     □     □
 
 
世の中を明るくするために、
一人ひとりができることはたくさんあります。
「自分なりに強くなるにはどうしたら良いだろう?」
そんな思いを常にもつことが、
自分を守るだけでなく、家族を守るだけでなく、
結果として、
社会を良くし、周りに愛を与える力になるような気がしてなりません。
 
 
このコラムは、2010年8月25日に配信したメールマガジンを転載したものです。
 
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 2010年8月30日            渡邉 裕晃

 

 

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