「インドネシアの富裕層」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
- 年収はどのくらい?
- 人口に占める割合は?
- どんな生活、どんなライフスタイルを送っているの?
などなど、いろいろなことをイメージするかもしれません。
そこで今回は「インドネシアにおける富裕層人口の推計」を通じて、貧富の格差、所得の格差について解説します。
目次
貧富の差が激しいインドネシア
インドネシアは「貧富の差が激しい国」として知られていますが、今回、イギリス系不動産総合コンサルティング会社、ナイトフランク(Knight Frank)の調査で、インドネシアにおける富裕層人口の推計が明らかとなりました。
2017年の数字として・・・、
・500万USドル(5億5000万円)以上の財産をもつインドネシア人は、19,010人
・5000万USドル(55億万円)以上の財産をもつインドネシア人は、1,160人 ・5億USドル(550億万円)以上の財産をもつインドネシア人は、70人 |
と発表されています。この数字、皆さんはどうお感じになりますか?
ナイトフランク社が発表した「The Wealth Report 2018」
今回、この調査を記事で紹介しているのはインドネシアの代表的メディア「Kompas」。「19,010人のインドネシア人が、7,000億ルピア超の富を所有」と題する記事で、インドネシア富裕層の詳細を紹介しています。
■19,010人のインドネシア人は、7000億ルピア以上の富を所有 19.010 Orang Indonesia Punya Kekayaan Lebih dari Rp 70 Miliar(DANI PRABOWO Kompas.com – 21/05/2018) |
このナイトフランク社が発表したリポート「The Wealth Report 2018」を探してみたところ、PDFでアップロードされていました。英文ですが、詳細はこちらです。
■The Wealth Report 2018 Knight Frank |
インドネシア人の富裕層人口は?
実際のところはどうなの? というところですが、このレポートから抜粋すると、インドネシア人の富裕層人口は以下のようになっています。
■500万USドル(5億5000万円:708億ルピア) 2012年:17,540人 2016年:17,180人 2017年:19,010人 2022年:31,590人 2012年から2017年にかけて:8%増 2016年から2017年にかけて:11%増 2017年から2022年にかけて:66%増 |
■5000万USドル(55億万円:7080億ルピア) 2012年:1,080人 2016年:1,050人 2017年:1,160人 2022年:1,930人 2012年から2017年にかけて:7%増 2016年から2017年にかけて:10%増 2017年から2022年にかけて:66%増 |
■5億USドル(550億万円:7超800億ルピア) 2012年:70人 2016年:60人 2017年:70人 2022年:110人 2012年から2017年にかけて:0%増 2016年から2017年にかけて:17%増 2017年から2022年にかけて:57%増 |
これ、どう思われますか?
いつもブログで書いていることですが、インドネシア関連の統計を見る時は一定の注意が必要です。それは数字の信憑性という点。今回の調査がどのようにして行われたのか、詳しいところはわかりませんが、日本統計数字を比べると、信頼性については一歩引いてとらえた方が安全かなと。
(私の感覚値では、もっと多くてもおかしくないのではないか・・・という気もしていますが、ここではあまり突っ込まないことにします)
参考までに、日本の富裕層人口を見てみると
なお、より具体的にイメージできるかな・・・と思って、参考までに日本の数字もピックアップしてみました。この通りです。
■500万USドル(5億5000万円:708億ルピア) 2012年:179,220人 2016年:182,910人 2017年:199,980人 2022年:306,690人 2012年から2017年にかけて:12%増 2016年から2017年にかけて:9%増 2017年から2022年にかけて:53%増 |
■5000万USドル(55億万円:7080億ルピア) 2012年:8,940人 2016年:9,110人 2017年:9,960人 2022年:15,020人 2012年から2017年にかけて:11%増 2016年から2017年にかけて:9%増 2017年から2022年にかけて:51%増 |
■5億USドル(550億万円:7超800億ルピア) 2012年:330人 2016年:330人 2017年:390人 2022年:600人 2012年から2017年にかけて:18%増 2016年から2017年にかけて:18%増 2017年から2022年にかけて:54%増 |
「えー、本当に?」と感じる方もいるかもしれません。実際のところがどうなのかはわかりません。
でも、私の知り合いのレベルでも、1億はおろか、5億とか、50億とかは話に聞くので、私ですら知っている・・・ということは、それだけ膨大にいるはずなんだろうな・・・と思ったりもします。
あの頃のアジアは今のアジアではない
なお、今回のレポートを記事でとりあげたインドネシアの代表的メディア「Kompas」の記事ですが、調査にあたったナイトフランク社のマネージングディレクターの声を紹介。
「インドネシアを含めたアジアの国々において、富裕層人口がさらに伸びていくという見通しは非常に明るい」「中国は、これから5年で2倍になるだろう」「インドネシアは日本よりも高い成長率を果たすことになる」と。
もうこれが現実なんですよね。以前もブログで書きましたが・・・、
「日本は豊かで、アジアは貧しくて」みたいなイメージをひきずっていると、現実を見誤ることになります。できあがったイメージを脱ぎ捨てて、常に現場の現実を見つめようとする努力が不可欠かなと。特に「激変するアジア」であれば、なおさらその必要があると、私はそう思います。
富裕層の実態が見えにくい背景は?
インドネシアに限ったことではなく、「富裕層」の問題が見えにくいのは、数が少ないということと、なかなかそばにいないということ。たとえ近くにいたとしてもその実態が見えにくい・・・ということが背景にありますね。
アジアの成長を見ていく上では、貧困層の問題を見つめることも大事ですが、同じようにして、富裕層の実態を見ていくことも大事だと思います。私自身も引き続きウォッチして、何かあればまたブログでご紹介したいと思います。
こちらの記事もどうぞ。
なお本記事では「インドネシアの貧富の格差」をとりあげましたが、「インドネシアの教育格差」については、次の記事を参考にして下さい。