「経営者になった経緯を教えて下さい」|明大生との毎週一問百答

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「明大生との毎週一問百答」コーナー。質問第182弾となる今回のテーマは、「経営者となった経緯についてお聞かせください」です。

<質問>

みなさまは、企業に勤めてから起業された方、学生を終えてそのまま起業という選択をなされた方、実家の家業を継いだ方など、さまざまな経緯を辿って、経営者になられたかと思います。

そこで経営者となった経緯や、起業(あるいはあとを継いだ)理由について教えていただければと思います。(慶應義塾大学商学部 飯塚涼さん)

■詳細記事

ちなみに、このコーナーについての詳細や背景については、こちらをどうぞ。

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人は、どういう経緯で経営者になるのか

経営者

将来起業することを考えている学生さんにとって、「経営者となった経緯」は、強い関心事項だと思います。

実際、私が学生時代(大学院)にも、「ベンチャー」というものに興味をもってからは、いろいろな社長にふれるごとに、「この人は、どういう経緯で起業したのだろう?」と思い、聞いたり調べたりを繰り返していました。

「ビジネスプランを策定し、用意周到に起業する」?

一般的に、起業というと、「学生やサラリーマンが用意周到なビジネスプランを策定し、一定の協力者に認められて会社を起こす」と考えられがちです。

ただし、いろいろな方の起業背景を調べてみると、そのような、理想的な「美しい道のり」をたどった人は、意外とそれほど多くないのでは?というのが実感です。

そして私自身についても、かなり特殊な起業の背景をもっています。

24歳で社長になった

私は大学院生時代に起業をしました。今から11年前の1999年のこと。私が24歳の時でした。

というと、ひょっとしたら、「学生時代から起業を目指して頑張りまくった」ような、印象を受けるかもしれません。でも私は大学生時代、そもそも「ベンチャー」以前に、「ビジネス」というもの自体に関心がありませんでした(笑)。

そのため、飯塚さんのような、問題意識の高い質問を考えることすら、私の大学生時代には、ありえないことでした。

そもそもビジネスに興味が無かった学生時代

ビジネスに関心がない。
就職活動をしようと思わない。
大学の先生にあこがれる。
そのためには大学院に入らないといけないらしい。

そうして、私は就職活動を全く経験することなく、大学院に進学することになります。

同級生の就活状況を聞いて、「ベンチャーキャピタルに行きたい」という友人に、「なにそれ? ベンチャーって何?」なんて聞いたくらいです。

ベンチャー企業という存在を知った

大学院に入り、アルバイトを探した時、たまたまめぐりあった仕事がありました。
書類選考や集団面接を経て、定員1名の仕事にありつけました。

でも、書類選考の段階から、なぜか社長が対応してくれて、面接についても「会社に来るな。指定するネットカフェに集まれ」と言われました(笑)。

「おかしな会社だな・・・」と思っていたら、しばらくして、その会社は社員がゼロ人の、まさに出来たばかりのベンチャー企業だと知らされます。私が「ベンチャー企業」「ベンチャービジネス」というものの存在を初めて知らされたのが、この時です。
 
 
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夫婦2人だけで、オンボロアパートの9畳の和室でPCが5台!
だから「会社に来るな!」だったのです(笑)。

ここで初めて「起業」というものを知らされました。

「こんな会社があるのか!」
「こうして会社がスタートするのか!」
「会社は、自分で始めることができるのか!」
ここの出会いは衝撃的でした。
 
 
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与えられた仕事は、毎月1回、創業経営者の講演を聞いて、その要約を作成すること。

創業経営者の話は非常にインパクトが強く、
「会社を始めること」「会社を存続させること」「事業を展開すること」
これが、いかに魅力あふれることであるかということを、
それこそ創業者本人たちから、繰り返し聞かされる・・・。

しかも要約文を作るということは、その内容を何度も反芻するということ。
毎月のようにして、起業と経営の面白さを脳裏に焼き付けられることになります。
 
 
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またその仕事は、単に要約文を「ワード」で納品するのではなくて、なぜかメールでテキストのままでの提出が求められました。

さらには、誰もが読みやすいように、適度に改行を入れたり、記号を入れたりして、デザイン性まで求められました。

「変わった仕事だな?」と思ったのですが、それが、「メールマガジン」という存在だということを知らされます。

「なにそれ?」と思ってから、その世界にハマりこむまで時間はかかりませんでした。

インターネットはすごい!
メルマガのパワーはすごい!

興奮しながら、私は個人メルマガの創刊を決意します。それが、いまだに発行を続けるメールマガジンのスタートになりました。
 
 
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また、そうした中で、ベンチャーで働く若者たちが、いかに躍動的であるかを知らされます。

交流させてもらう起業家たちの、前向きなパワーには本当に圧倒されっぱなし。
昼夜を問わず、嬉々として働いている。
未来をかたり、未来を創ろうとする意欲あふれる主人公たちがいる。

「働くということは、めちゃめちゃ楽しいことなんだ!」

私は大学院の生活を捨て、ベンチャーの世界に入り込みます。
休学をし、複数のベンチャー企業でアルバイト。
ベンチャー修行、ベンチャー人脈作りに入りこみます。
 
 
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様々なお仕事を経験させていただきました。
様々な経営者と交流させていただきました。
経営を学ぶ学校に、無料で参加させていただく機会にも恵まれました。

ネットビジネス黎明期の中で、ホームページやメールマガジンを積極的に活用している人たちからも、非常に多くのことを学ばされました。

そうした私の活動は、できるかぎり、ブログ(当時はホームページ)やメールマガジンで発信をしていきました。
 
 
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「ぜひお会いしましょう!」
情報発信をしていく中で、さらなる出会いも次々にもたらされました。

例えば、現役東大生ながら、ビジネスの立ち上げに熱心だった、笠原さんという好青年に出会ったのも、この頃です(現:ミクシィ社長)。

上場企業の若手社長をまじえた食事会で、ちょこっと提案をしてみただけで、「おぉ、いいね! 君、その事業部の立ち上げやってよ!」と言われ、学生の私に即決で指示する、ベンチャーの躍動感を大いに感じたことも。

私が書いたメルマガが、ある地方の商工会議所の幹部の方の目にとまり、「ぜひ会報で掲載したいのですが・・・」と言われ、「インターネットはすごいなぁ!」と驚嘆する。

ベンチャーの世界に身をおき、ベンチャーの人たちと交流をし、常に情報発信をしていくこと。この上なく躍動的な毎日になりました。
 
 
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そんな中、ある会社さんからお声がけをいただきます。

「新規事業で、ネット広告の事業を手がけたい。
 ついては、君ひとりだけで立ち上げをやってみないか?」

日ごろの活動を見ていてくださったある社長が、声をかけてくださったのです。それを引き受け、私は一人で事業の立ち上げを担当することになります。
 
 
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事業のスタートも見え、営業活動もスタートし、「これは伸びるぞ!」と確信をもった時のことでした。

なんとその会社の本業がダメになってしまいます。
社員は全員解雇となり、当然私の事業もストップに。

「伸びることが目に見えているのに、もったいない!」
でも、会社の状況をふまえれば、どうしようもありませんでした。
 
 
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私は、すでに営業活動をしていたので、私の独自判断で、あいさつ回りをしていきました。

東京、京都、名古屋、大阪・・・。
交通費だけでも、馬鹿になりません。

「本当にすみません、事業活動ができなくなりまして・・・」と。

そこで、何社かの社長さんが言ってくれた言葉が衝撃でした。

「君が一人で始めれば良いんじゃないの? 会社をさ」
「君がやるんだったら、注文してあげるから頑張りなよ」
「お金がないんだったら、資本金だしてあげるよ」
「チャレンジしてみたら良い。考えてみてごらんよ」などなど。
 
 
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大変長くなりましたが、実はこれが、私の起業の経緯です。

「起業する」ということは考えておらず、起業するにしても、まだまだ先のことだろうと思っていました。でも、今すぐに起業しなければいけない運命がやってきました。

応援され、期待されているチャンスに応えるのか、あるいは、むざむざと捨てて逃げるか。

私には、事業を始める、もっと言えば、事業を継続することしか、選択肢がなかったのです。

未熟で若輩な私には、起業する以外の選択が全く想像できませんでした。
「起業するしか道がなかった」というのが正直なところです。

お金が無いから社員を雇うことはできない。でも、仮にしばらく利益が出なかったとしても、自分が生活費で苦しむだけだから問題ない! そう決断しました。
 
 
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良かったことは、

・いろいろな方々が私の活動を見ていてくださったこと。
・応援してくださる方々がたくさんいたこと。
・起業に向けて背中を押してくださるお客様がいたこと。
・当時の社長とご家族が、私の船出を快諾してくれたこと。

です。

「努力の姿は、必ずどこかで誰かが見ているものだ」ということを教えられました。
 
 
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当時、背中を押してくださった方々には、本当に感謝しています。

その方々は、私が起業してからも・・・、
ある方は、折に触れてアドバイスをくださったり、
ある方は、サムスルがニュースで取り上げられる度に、
「見たよ!頑張ってるじゃないか!」と電話を下さったり

またある方は、
それからなんと10年以上にも渡って継続的にご注文を下さったり。
私を最初にベンチャーの世界に誘ってくれた社長は、いまや、サムスルの社外取締役に。

社員を全員解雇して、私に起業を許してくださった社長は、その後、大復活されて、いまや、サムスルにお仕事をいただける存在に。

当時応援してくれた方の一人は、なんと昨年、急に連絡をくださって、サムスルと協業関係へ・・・。
 
 
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その他いろいろ、本当にありがたい御縁ばかり。御縁の素晴らしさを思い知らされながら、今に至ります。

私はこの体験から、「時の運と人の縁」を座右の銘にしています。そして、その「時の運」と「人の縁」を招くコツは、絶え間の無い、継続的で、圧倒的な努力の集積以外にはありえない!と信じています。

その場その場で与えられた役割を、必死になってこなすこと。これが、明るい未来を招きよせるコツだと信じています。投げかけられた天からの挑戦に、逃げずに闘うことです。
 
 
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大変長くなりましたが、以上が私の起業の経緯です。あまり参考にならないような、私ごときの特殊事例で恐縮です。少しでもお役にたてるようなヒントがあれば、幸いです。

「努力の継続」と「縁」。ぜひこの2点は大切にして下さい。
 

■参考:このテーマに関連するブログ記事です。こちらもどうぞ。

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 2010年2月2日             渡邉 裕晃
 
 
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