「苦役列車」で芥川賞を受賞した西村賢太さんが死去という衝撃。まだ54歳。
かつて「苦役列車」を読んだ時、私は強い衝撃を覚えました。映画化された時には、協賛もさせていただきました。この1冊しか読んでいませんが、私の中では、いわゆる強い身体性を伴った作品をものす作家というイメージが強いです。
突然の逝去。本当にびっくりです。
西村賢太さんの「苦役列車」の原作と映画
芥川賞を受賞した「苦役列車」の原作と映画はこちらです。
西村賢太さんと石原慎太郎さんのこと
西村賢太さんは、まさに2月1日に急逝した石原慎太郎さんが高く評価していた作家。芥川賞の選考委員だった石原慎太郎さんが、ずっと推薦し続けてきたことでも有名です。
その西村賢太さん。数日前には、石原慎太郎さんに対する追悼文を発表していました。またこれ、非常に深い。
■読売新聞:胸中の人 石原慎太郎氏を悼む…西村賢太
西村賢太さんの「苦役列車」に対する感想
昔のことなのでうろ覚えですが、当時自分が書いた「苦役列車」に対する書評のブログ記事を読み返してみたら、こんなふうに表現していました。
感性豊かでプリミティブで、日常の中の非日常を、暗い世界の中での光を、人間の生の実態を、非常に美しい日本語で描き出した作品だと思いました。
たんたんとした日常であっても、優れた感性で読み解くと、こんなに様々なことが透けて見えてくるのか! という、そんな作品。
「生のリアル」から遊離したような事件や世相が多い中、「生きるとは何か」「強く生きるとはどういうことか」を改めて考えさせられる作品。
こうした作品が、「新人賞」としての位置づけをもつ「芥川賞」に選ばれたということは、今後の日本文学に対する新しい希望の光。
まだ56歳。ただただ、びっくりです・・・。ご冥福をお祈りします。
写真は、ヤフーニュース「共同通信」の記事から。