むかし、築地吉兆の食事会で石原慎太郎さんがいらして。
私を見るだに「ずいぶん若い社長もいるもんだなぁ・・・」って。
ニコニコした表情が、いまだに記憶にあって。
かつて、際コーポレーションの中島社長が教えてくださったフレンチの名店、アピシウス。「ここに行くとね、ホンモノというものが学べますよ」って。
行ってみたら本当に素敵な場所で、深い哲学も感じられて。それこそ言葉にならなくて。小山薫堂さんが「大人のディズニーランド」と評したグランメゾン。
ここのオーナーは、さぞかし趣味に遊びに破天荒な人なんだろうなと。でもスタッフに聞いても誰だか教えてくれなくて。
ある時、石原慎太郎さんの「オンリー・イエスタディ」を読んだ。約40名の破天荒な人物を描いた本。その中に「あれ? これって、もしかしてアピシウスのオーナーの話なんじゃない? 」って思える部分があって。
またアピシウスに行って、スタッフに「もしかして・・・」と言ってみたら、話をにごされつつも「あっ! お読みになられたんですね!」って驚かれたのを思い出す。素敵なオーナーの人物伝。石原慎太郎さんから教わった。
「あとがき」に、こうある。
過剰な情報の氾濫はかえって人間たちの情念感性を摩滅させ、画一的な人間の配置をしかもたらさないような気がする。つまり癖のある人間がいかにも少なくなってしまった、他が何だろうが俺が俺がという人間が。
石原慎太郎さん逝去、89歳。ご冥福をお祈りします。
■日本経済新聞:石原慎太郎氏が死去 89歳、東京都知事や運輸相歴任
■『オンリー・イエスタディ』レビュー|石原慎太郎と強く激しく生きた男たちの物語
■フレンチの名店「アピシウス」の魅力|本物を知る大人のテーマパーク
この写真は日本経済新聞の記事から。運輸大臣の時だそう。とても良い写真!