「インドネシアのパパイヤで強盗発生」誤報の可能性も含め真相究明へ

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「店先での事件であればセキュリティ会社と連携して警備強化にあたりたい」

インドネシア日系スーパー大手「パパイヤ フレッシュギャラリー」(Papaya Fresh Gallery)は23日、オンライン上で拡散された「パパイヤ ブロックMの店先にて強盗発生」との噂をめぐり、広く情報提供を呼びかけるメッセージを配信しました。

この情報は「21日に日本人の買い物客が、パパイヤの店先にいたインドネシア人2人に殴られ、商品を奪われた」とするものですが、23日夕方現在、パパイヤ側でも事実確認がとれていない模様です。

現地在住の日本人からは「警戒をしなきゃ」と不安を表明する声が出る一方で、「ニュースソースが見当たらない。誤報ではないか?」との声も上がっています。

【追記】その後、パパイヤさん側で本件に関する情報を得ることができた模様です。25日の夕方に「情報提供のお礼」と題するLINEメッセージが配信されています。下に追記をしました。




パパイヤは事実関係の解明に向け、情報提供を呼びかけ

パパイヤ インドネシア スーパーマーケット

パパイヤはメッセージの中で「店先での事件であれば、警備内容の見直しなどを行う必要」があるとした上で、現状を次のように伝えています。

「事件のあったとされる夜7時過ぎ、店頭には警備員が2–3名おり、また付近のビデオ屋、駐車場整理のスタッフもおりましたが、目撃情報が無く、CCTV記録もない状況です」

参考までにメッセージの全文は次の通りです。(メールアドレスだけ削除しました)

【情報提供、ご協力のお願い】

いつも当店をご利用頂き有難うございます。
昨日より、日系メディア・ライン等で「パパイヤ ブロックM店先にて強盗発生」の情報がございますが、当店にて未だ事実確認が取れておりません。

事件のあったとされる夜7時過ぎ、店頭には警備員が2–3名おり、また付近のビデオ屋、駐車場整理のスタッフもおりましたが、目撃情報が無く、CCTV記録もない状況です。

店先での事件であれば、警備内容の見直しなどを行う必要がありますので、被害に遭われたご本人・被害者をご存知の方、(パパイヤメールアドレス) まで、情報提供のご協力をお願い申し上げます。
セキュリティ会社と連携をして警備強化に努めて参りたく存じます。

▼ 経済状況悪化により、各地で失業者が増えております。
店内で、カゴの中にお財布を入れてお買い物をされている方をお見受け致します。
貴重品は、必ず身につけていただくよう、各自の防犯意識も強めていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

「老舗の日系スーパーで強盗」の情報で日本人コミュニティにも動揺が

ジャカルタの日本大使館

「パパイヤ フレッシュギャラリー」(Papaya Fresh Gallery)はインドネシアの日系スーパーの老舗として、日本人社会では絶大な認知度を誇ります。

「日本人駐在員なら知らない人はいない」というレベルを超えて「日本人駐在員なら、ここで購入しなかった人はいない」というほどの名店です。

まさに「在住日本人の御用達」のお店とあって、「パパイヤ ブロックMの店先にて強盗発生」とする情報は、現地の日本人社会に一定の衝撃をもって受け止められました。私自身も、ツイッターで知り、「ソースが明確でないのに拡散されている」という状況に危機感を覚えた一人です。

なお、在インドネシア日本国大使館は22日夜、在留邦人向けのメールで注意喚起を行っています。

ラマダン(断食月)における注意喚起」と題するメールで、「期間中は,スリや置き引きなど金品目当ての窃盗犯罪も増加する傾向にあり,注意が必要です」と解説。

その上で、「最近でも,ジャカルタ中心部や南ジャカルタにおいて,日系スーパー付近等の路上や飲食店前などで,邦人の方が強盗やひったくり等の犯罪被害に遭う事案が複数発生しており,十分な注意が必要です」との記載を行っています。

「パパイヤの噂の件」と特定することはできないものの、「日系スーパー付近等の路上で、邦人の方が強盗やひったくり等の犯罪被害に遭う事案」との表現を見れば、「あの噂は、やはり本当の話だったのか!」と想起させかねないメールになっていると言えるでしょう。

もし本件事案が事実でないとすれば、「在留邦人を過剰に不安にさせる失態」と見られる可能性も秘めています。

ジャカルタ警察は「強盗」や「事実に基づかない虚偽情報」を警戒

ジャカルタの治安悪化 強盗 ニセ情報

ジャカルタ警察は22日、コロナの感染拡大により犯罪件数が増えており、その多くは強盗や窃盗、そして事実に基づかない虚偽情報の拡散だと発表しました。同署は特別の対策チームをつくるとともに、情報の取り扱いに注意するよう呼びかけを行っています。

警察の発表によれば、空き巣の件数が減る一方、スーパーやコンビニ、人のいない場所での強盗案件が増加している模様です。警察は専門の対策チームをつくると表明。「警察に抵抗したり、市民を傷つける犯罪人には容赦しない」としています。

また南ジャカルタのチランダックでは21日、「強盗に襲われた」とする被害者の映像がオンライン上で拡散され大きな話題となりました。しかし警察の調査の結果、被害者とされる男性の虚言であることが判明し、逮捕されています。

警察は「犯罪を見かけたら、ソーシャルメディアに投稿する前に、まずは警察へ通報を」と呼びかけています。

ちなみに現地メディア記事は次の通りです。

Selama bulan April 2020, kata Yusri, Polda Metro Jaya telah mengungkap 18 kasus penyebaran berita bohong dari 48 kasus yang diselidiki.

「パパイヤの強盗発生」情報が突きつけた2つの課題

パパイヤ インドネシア スーパーマーケット

今回の「パパイヤの店先にて強盗発生」との情報は、情報ソースが不明な上、同店の事実確認ができないまま、噂レベルでオンライン上に拡散されました。

もし事実であれば、警備のさらなる強化が求められます。しかし、もし事実でないとすれば、いたずらに地元住民の不安をあおる結果となり、風評被害にもつながりかねません。

今回の事案は「ケガをする」という意味での「被害者」がいない点は幸いです。しかし、もし情報が事実であればセキュリティー上の課題に。もし事実でないとすれば、メディアリテラシーの課題につながります。事態の真相究明が待たれています。

■追記

その後、パパイヤさん側で本件に関する情報を得ることができた模様です。25日の夕方に「情報提供のお礼」と題するLINEメッセージが配信されています。パパイヤさんとしても警備強化の検討のために情報を求めていらっしゃたので、解決に向かったことは、ひと安心です。

また今後、未確認の情報をネットで拡散・共有する場合は、できるだけ情報源を確認するとともに、「未確認である旨を記載した上で書く」等のマナーが必要になってくるでしょう。

【参考】インドネシアの日系スーパー「パパイヤ」とは?

インドネシアの日系スーパーの老舗「パパイヤ フレッシュギャラリー」の詳細と魅力については、こちらの記事をご覧ください。

パパイヤ|インドネシアの日系スーパーの魅力と歴史を探る!お土産も!
パパイヤはインドネシアで有名な老舗の日系スーパー。ジャカルタ、バリ島、スラバヤに展開し日本人駐在員には有名な存在です。12ヶ所の店舗地図や営業時間も含め、パパイヤの魅力に迫ります。創業者、市原和雄さんの人物や歴史も注目です!

なお、インドネシアのメディアにおける「誤報」の問題については、こちらの記事もぜひどうぞ。

ジャカルタのテロ事件|インドネシアで流れた「同時多発」の誤報の謎
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